ガイド
アフリカ旅行記
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コートジボアール、湿潤なギニア湾岸へ。
西アフリカの乾燥したサヘル地帯から南下すると、しだいに緑が増えてきます。やがて暑く湿潤な空気の中に、豊かな恵みと人々の活気ある営みが見えてきます。
サヘルからサバンナへ、村の長と１２人の妻、英語教師
ニジェール川にかかる大きな橋を渡ると、バマコの街はあっという間に林の中に消えました。前に見えるのは果てしなく広がる草原とどこまでも続く道だけ、そして当たり前のようにギラつく灼熱の太陽と真っ青な空だけです。道はほとんど平坦です。風が無いので比較的快調に飛ばしました。
その日の夜は、食料調達のために立ち寄った村で、そこの有力者のお宅に泊めていただけることになりました。広い中庭にめんした長屋のコンクリートの床をお借りできたのです。何よりありがたかったのはご親切に頂いたバケツ２はいの水です。中庭の真ん中で身体を洗うことができたのです。おかげで、さっぱりとしてとても気持ちの良い夜をすごせました。
食事の後庭先のテーブルを挟んで、両脇に二人の奥さんを従えたご主人とお話ししました。ご主人が気を利かしたのか、英語を話す村の教師が一緒に呼ばれており、彼の外国に対する意識が高いこともあり話が弾みました。自転車なんぞで何をしているのかとか、日本はどの辺にある国なのかと行った質問があるかと思えば、日本の経済力はすごいといったような話も。
また、奥さんが他に二人、合計４人もいることに驚いた旨を話すと、“いやいや隣村には１２人の妻を持つ人がいるよ”とのことで、主人が楽しそうに笑うので皆もつられて大笑いしました。まさに一夫多妻、なんともアフリカらしい豪快な話でした。
見上げると半月が高く輝いていました。苦しかった１日を思い出しながら、なんともいえない満ち足りた気分にさせていただきました。
久しぶりの雨と巨大バナナ プランテーン
オートボルタ（現ブルキナファソ）のワガドゴからアビジャンへの鉄道沿いに進みます。
南下するにつれて、景色が変わってきます。そう、緑が多くなるのです。何もかもが白茶けた風景に少しメリハリが出てきます。バナナの木が１本から数本に、葉の小さな潅木から葉の密生したマンゴーの木へ、次第にみずみずしさが感じられるようになります。
あるとき駅の軒下で寝ていると顔につめたいものを感じました。最初は気のせいかなとも思ったのですが、すぐそれが雨であることがわかりました。そうドイツ以来の雨でした。雨というものがあることをすっかり忘れていたのです。うれしくなりました。少し強くなったと思ったらすぐ止んでしまいましたが、あまりの新鮮さ、みずみずしさに、真っ暗闇の中でずっと仰向けになっていました。
朝目を覚ますと周りにはすでに、大きな荷物を抱えた乗客が集まり始めていました。家財道具から勝気まで実に様々な荷物があります。、、と、すぐ目の前においてある果物をみてびっくりしてしまいました。長さが５０Cmほどもあるバナナです。こんな大きなバナナがあるものかと驚きました。そこのおばさんに聞いたら、それはプランテーンといって、どうも煮たり揚げたして食べるものであることがわかりました。このプランテーンにはその後アフリカ力旅行中ずいぶんとお世話になることになります。
パイナップル畑をアビジャンへ 快適な道を行く
 さらに南下するにつれ乾燥した大地はその風景を一変させます。緑が多くなります。ほこりが立たない性で空気が澄んで、見るもの全てが生き生きと鮮やかにみえます。肌をなでる空気もしっとりとして、とてもやさしく感じられます。
道の両側どこを見ても青空をバックにして緑が美しく輝いています。村の民家の様子も変わりました。これまでの土壁とわらやトタンだけの小屋から、色づけも鮮やかな小奇麗な家が多くなります。道も下りが多くとても快適で、パイナップル畑のサイクリングといったところです。アビジャンまでの最後の日は１３０Kmを走りました。
アビジャンに着いたのは暗くなってからでした。街の入り口で朝を待つことにしました。近くの露天で例のプランテーンを揚げているのを見つけたので早速食べてみました。かすかにバナナの香りがして、結構いけます。それで夕食が済んだのは言うまでもありません。横になると満点の星が見えます。これまでの長かった道中を思うとなにかとても満ち足りたものを感じました。
アビジャンは活気があり大きな町です。黄色や青、大きな花柄模様などのカラフルな服装の女性たちが目立ちます。市場には野菜や果物、肉や魚が山済みです、その間を多くの人々が行きかっています。久しぶりに見る当たり前の光景に感動してしまいました。あの旱魃地帯の光景がまるでうそのようです。今も必死でがんばる彼らに早く緑が戻ることを祈らずにはいられませんでした。
アフリカの若者の理論物理と女談義
 バマコであったフランス人に聞いていた無料の宿泊所に落ち着きました。欧米の旅行者１０名ほどに、ガーナやナイジェリアなど近隣の特に英語圏の国々からの若者十数人が寝泊りしていました。ここは国あるいは慈善事業団体の経営のようです。みんな私と同じぐらいの年の学生です。話も合い、毎晩楽しい時間をすごさせてもらいました。
理論物理を議論する者、、世界政治や経済の話をする者、やかましいくらいです。話題の中でも最も盛り上がるのはやはり女談義です。これに関しては欧米人もアフリカ人も東洋人もありません。各国の婚姻制度、つまり妻の数から、武勇伝や失恋話、好みの女性のタイプから下ネタまで、毎晩、宿の中庭で上半身裸に短パンあるいは腰巻一丁の若者達がワーワー、ワーワー。今思います。なんて素敵な時間だったのだろうと。
しらみ
この宿でしらみをもらいました。腰周りが赤くかゆいことに気がついたのは数週間後のことです。短パンのベルト下の縫い目の内側にびっしりと卵を産み付けていました。成虫を見たのは初めてです。すぐ衣類を煮沸しようと思ったのですが、何やかやで延び延びになり、その後次第に慣れていったこともあって、とうとうなんとドイツまで道連れとなりました。あなたは気をつけてくださいね。
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バマコ