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アフリカ旅行記


1-エジプト、初めてのアフリカ


2-スーダンからエチオピアへヌビア砂漠を越えて

3-アビシニア高原をアディスアベバへ

4-参考データ

5-セネガルからマリへ、タムタムを聞きながら

6-コートジボアール、湿潤なギニア湾岸へ

7-参考データ

8-アビジャンからナイジェリアへ美しいギニア湾岸を行く。

9-カメルーンの鬱蒼たる密林を抜けて

10-参考データ

11-中央アフリカからウバンギ川を下る

12-コンゴの密林を抜けて

13-密林に生きるヨーロッパ人

14-象の焼肉とビクトリア滝

15-アフリカ東海岸とサファリホテル

16-アフリカ中央部、気の遠くなるように遅い時間の歩み

17-参考データ

18-ニジェールからサハラを越えて

19-地中海へ、さようならアフリカ
アジスアベバ
アスマラ

アビシニア高原をアディスアベバへ

平均高度2500mのアビシニア高原は日差しは強烈ですが空気は実に爽やかです。
変化に富んだ台地と、苦しい自転車旅行の合間に触れ合う親切で陽気な人々。
彼らとすごした4ヶ月は一生の思い出になりました。

アスマラからの自転車旅行、アップエンドダウンと峠の大晦日

果てしなく続くアビシニア高原のアップエンドダウンアビシニアは平均高度が2500メートルほどの高原です。エリトリアのアスマラもそんな高原にあります。飛行機をおりると、それまでの50℃の灼熱がうそのように、ひんやりとした実に爽やかな空気が迎えてくれました。アスマラも花々が咲き乱れる美しい町です。ヤシの並木が深い影を投げる大通り、そこを歩く褐色の肌にほりの深い顔立ちの女性がとても魅力的でした。

空港で自転車を組み立てました。ベイルート以来1ヶ月ぶりです。久しぶりの自転車はやや重く感じられるものの、明るい太陽と高原の空気の中とても快適です。これからアディスアベバまで700キロあまり。その道程を思うと希望に胸がいっぱいになり、うれしくてなりませんでした。国境を越えるときいつも感じてきたように、自然や町、そしてそこで暮らす人々との新たな出会いが待ち遠しくてなりませんでした。

12月31日13時アスマラ出発。希望に燃えたペダルは軽く、旅はとても快適、、、と思ったのはほんの市街地を出るまで。そこからいきなりアップエンドダウンが始まりました。空気が薄い性かすぐ息が切れます。道は上りか下りのいずれかで平坦なところはありません。あの高揚した気持ちはすっかりしぼんでしまいました。

以後アジスアベバまで、同じような、いやそれ以上にきつい道が来る日も来る日も続くことになります。少ずつ慣れてはいきましたが、常に傾いた道と薄い空気とは最後まで友達にはなれませんでした。

その日の夕刻、高い峠を越えたところで、5メートル先も見えない濃いガスに包まれ動けなくなりました。その晩はその峠にあった小さな茶店に泊めてもらうことにしました。土間のござの上で疲労困憊した身体を横にしていると、今日が大晦日であることを思い出しました。私にとって海外で迎える始めての大晦日そして正月です。ここはアフリカはエチオピア国。人里はなれたとある峠の上。薄れ行く意識の中で、大晦日をここで迎えたことに、“天晴れ”と自分を慰めました。

大地溝帯とそこに暮らすシバの女王の末裔

エチオピア主食はインジャラです。テフという粟のような穀類を水で練って発酵させてから焼いたものです。インジャラは私がこの旅行全工程を通じて最初に食べておいしいと感じなかった唯一のものです。少し酸味があるところが苦手で、慣れるまで暫くかかりました。食べ物については多くの案内書がありますのでそれを見てください。

人種はソマリア系です。肌の色はおおむね褐色です。人々の顔立ちはほりが深く美男美女が多いです。さすがシバの女王の末裔です。唯、残念ながら衛生的にも疫病の管理上もまだ遅れておりますので、水、食べ物を含めて十分な注意と覚悟が必要です。

アスマラからアジスアベタナ湖から流れだすブルーナイルの源流へのルートは2つあります。タナ湖から流れ出るブルーナイルの源流近くのゴンダールや史跡で有名なアクスムを経由するルートと、私が自転車で走った何も無い東側のルートがあります。どちらも峻険な山岳地帯を通ります。アビシニア高原はアフリカ大地溝帯(グレイトリフトバレー)の最も荒々しく見える部分を構成しております。グランドキャニオンもさもありなんというような深い峡谷がお国を南北に貫いています。
道はいまだあまり整備されておらず、転落事故が多いのでバスが危険なところを通過するときには、運転手の先導で無事に通過することを神にお祈りするとのことです。運転は神頼みというわけでもないでしょうが、それだけ人を圧倒する眺めです。その眺めは実に巨大ですばらしく、目のくらむような峡谷はいくら見ていてもあきることはありません。

いくつもの村や集落に立ち寄り休息をとりました。そこで頂く砂糖をたっぷり入れた紅茶は最高です。毎日太陽は高く明るく、日差しは強烈なのですが空気はいつも爽やかです。たっぷりかいた汗も日陰に入ればスーッと引いていきます。人々は明るく素朴で人懐っこく親切です。

ただ、毎日の移動は生半可ではありません。でこぼこの道は上り下りを何度も繰り返すので、夕方にはいつも疲労しきった身体を引きずっていました。宿屋にしろ野宿にしろ横になるときが天国でした。

ある日、異様な光景に出会いました。大きな荷物を持った人々の行列です。みんな一様にやせており、身なりからして、田舎にすむ貧しい人々のようです。車のタイヤを切って皮ひもを通したものをぞうり代わりにはいていました。女性は素足が多いようです。そんな人の列がずっと続いているのです。高台にあがって彼らを見たとき驚きました。車道を無視して、まっすぐに平原を越え丘を越えてその列がはるか彼方まで延々と続いています。まるでアリの移動のようです。程なくして、彼らが町の市場へ向かっていることがわかりました。あの素足の女性はまた来た道を何時間も、いや何日も?かけて戻るのだろうか。やせたひびだらけの足が痛々しく感じられました。
道中でもっとも高い峠を越えると程なくアジスアベバです。やっとの思いでたどり着いたのは、アスマラを出て20日後でした。

アジスアベバの3ヶ月 高原の空気と魅力的な人々

アジスアベバ、新しい花、なんと言う素敵な名前なのでしょう。人口百万人近いのですがあまり大きな都市には見えません。高台から見ると、街中に緑が多く高い建物の少ない町は都市というより大きな村といった感があります。最初の日夕刻に着いた私は、いつもの癖で警察署に泊めてもらおうと頼みにいきました。結局そこに居合わせた1警察官の自宅に泊めていただくことになりました。もちろんほんの一泊のつもりで。エントット山からは緑の中に広がるアジスアベバが見える

ところが1週間後にお祭りがあるからそれまで居なさいとのことで、それまでお世話になることになりました。近所の人が来ました。遠くにいるこの家の娘が来ました。親戚の大学生が来ました。魅力的な人々と、その居心地の良さについ長居してしまいました、それからなんと3ヶ月間もお世話になってしまいました。短い(?)時間でしたがいろんなことがありました。お話しようとすると、あまりに多くのことが一度に思い出されて混乱し、胸が熱く苦しくなってしまいます、、。

彼の家はアラタキロから10分ほど下った閑静な住宅地区にあります。直径30メートルほどの策で囲われた敷地内に家と井戸そして小さな畑があります。家も母親と妹親子の住む母屋に隣接して、彼の部屋と姉親子の部屋、それから親戚親子のすむ家があります。

この家の成人男性は警察官の彼一人です。姉も妹も離婚したとのことです。親戚夫婦のだんなさんも、私が住み着いてから程なくして夜夫婦喧嘩をして出て行きました。奥さんのアルマズ(ダイヤモンド)はとても美人で楽しい人なのに何が不服だというのか理解できません。私がいきがってもしようがありませんが。

朝はモロ(妹さんアセグレッチの娘、10歳)の明るい“エイチ(私、英一)−ッ、ブンナタッタ(コーヒー飲みなさーい)”という声で目が覚めます。土間の上に敷いたござの上で目を開けると、土壁にあいた50Cm四方ほどの小さな窓を通して、真っ青な空をバックにしてユーカリの葉が揺れているのが見えます。またゆったりした1日の始まりでした。
毎朝、コーヒーできたよー、と越しに来てくれたモロ
この部屋の主人はすでに出勤しています。すがすがしい空気に思わず深呼吸をしてから母屋に向かいます。家に入ると広い土間の真ん中でマミテ(召使)が、口の狭い土器を使ってコーヒーをつぶしています。シャンマという白い木綿の衣装に身を包んだ母親が正面の椅子に座り、その左右に妹のイェシやその息子や娘さんが椅子に座っています。

ご存知のようにエチオピアはコーヒーの原産国です。

みんなに挨拶をしてから私も端の椅子に腰を下ろします。マミテ(お手伝いさん)は年上の人から小さなカップに入れてコーヒーを配ります。砂糖はぜいたく品なので、かわりに少量の塩を入れます。さすがに塩を入れる気にはなりませんでしたのでブラックで頂きました。コーヒーと一緒にねずみ色のインジャラの切れ端と唐辛子の粉が渡されます。それがこの家の朝食です。

それからの滞在期間中には実に様々なことがありましたが、このままですとだらだらと長くなってしまいそうなので、今回はこれでやめにします。また他の機会にお話しできればと思います。

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